2015年10月8日木曜日

真似をする

人は、生後8~10ヶ月くらいから、
お母さんの真似をするようになるそうだ。

そして、1才を過ぎると「ふり遊び」をするようになる。
コップを持って、水を飲むふりをする、というような感じに。

1才後半には、「見立て遊び」もするようになる。
ブロックを車に見立てて、ブッブーみたいな感じに。

3才を過ぎる頃には、「ごっこ遊び」もするようになる。
お母さんごっこみたいな感じに。

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ちなみに、チンパンジーは真似から物事を学んでいる部分もあるようだが、
人間の子どものように「すぐに人の真似する」というようなことはないらしい。
「まねっこ」の意図が理解できない、と考えられているらしい。
知的な動物だとして知られているけれど、
そこは人とは違うんだそうな。

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発達障害(自閉症)の子どもはどうだろうか?

基本、真似はしない事が多い。
 
※真似はしても、
ずいぶん時間が経ってから運動会の歌を口ずさむ、
のようなことをすることもある。
(これは一般の真似とはちょっと意味が違うというのかな?)

※比較的軽い発達障害の子どもは、最初から真似をすることもあるし、
社会性が育ってきたり、彼らの成長と共に真似をし出す場合もある。
ただ全般に、通常よりもいろいろな意味で上手ではない。

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真似をしないことは、何に影響していくのだろうか?

真似をしないメカニズム、その影響。
私は専門家ではないので、
本当に正しい表現を使って書けるかどうかわからないので、
控えておくことにします。

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でもやっぱり、真似をしないことは、何に影響していくのだろうか?

真似から物事を学ばないってことなのです。

じゃあ、どうなるのか。

極論から言うと、
正しく学べないってことです。
正しく教えたくても、教えられないってことです。

※個人差があるので、絶対こうだとは言い切れません。

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放っておいたら、
まねっこ、ふり遊び、見立て遊び、ごっこ遊び、
そういう発達はしません。
というより、しづらいです。

じゃあ、仕方がない、とするのか。
なんとかしたい、と思うのか。

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私はなんとかしたいと思いました。

最初は、ある手法を使って模倣(真似)する技術を習得させました。
そこには、結構な時間がかかりました。
でも、出来るようになってきたとき
「やった、これでいろいろなことが伝えていける」と思いました。

しかし、しばらくしてふと気付きました。
あれ?
彼には、真似をしたいという気持ちが育っていないんじゃないか。
じゃあ、これ以上の発展は無理じゃないか?
そう思いました。

・・・・・

そう、真似は技術ではありません。
真似をしたい気持ちが大切なんです。
最初は下手でもいいんです。

だから、
上手にできなくてもお母さんみたいに洋服を着てみたいと思うし、
おぼつかない足もとでも、お兄ちゃんの後を追いかけて走ろうとするし、
技術よりも気持ちでカバーして、そしてだんだん上手になっていく。
そして、社会的に必要なことをどんどん吸収していく。
(逆に、幼稚園で汚い言葉を覚えてきたり、
お母さんの変なクセを真似たりもしていきますよね、
それも成長です)

そうだ、真似をしたい気持ちが大切なんだ。
そう気付きました。

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そして、真似をしたい気持ちを育て、
人と一緒にいたらいいことあるね、
っていう気持ちを育てることに何年も費やしました。

結果、息子は「ごっこ遊び」までは難しかったのですが、
「見立て遊び」が楽しいレベルにまでは育ってくれました。
 
そしてようやく、周囲に好きだなぁと思える人がでてきて、
その人と一緒にいたいなぁと思えるようになってきたようです。
 
私が一番大切にしているのは、結局はそこです。
技術ではなくて、気持ちを育てることが大事だと思っています。

気持ちが育ってしまえば、その上にスキルを積んでいくことはできます。

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実は先日、軽度発達障害のお子さんをお持ちで、
支援学校の教師をしていた友人と話しました。

その時
「え、Sちゃん、小さいとき模倣しなかったの?」
とびっくりされました。
「うん。全くしなかったよ。ゼロだよ。」
と答えました。

「支援学校の高等部にいる生徒さんで、模倣しない生徒さんいたでしょ?」
「元々、自閉症の子どもが模倣ができないってのは、定説だよね?」
と私は説明しました。

友人は、自閉症の子どもの中で、
”元々模倣ができる子と
”元々模倣ができない子”
その2種類に区別していただけであって、

”元々できなかったけど、できるようになった子”
という分類があったことは、あまり考えていなかったらしい、
ということがわかったのです。
 
確かに、そういう過程を見ることは、あまりないかもしれないな、
想像しにくいんだな、
と思いました。
 
・・・・・

私は、
”模倣ができなくても、気持ちを育てればある程度模倣はできるようになる”
”模倣が下手でも、同様に気持ちを育てることで、より上手になる”
と考えています。

私の個別指導や、親御さんへのコンサルティングは、
この部分を育てることが一番の目的です。

時間はかかりますが、気持ちを育てることは一生モノだと考えています。

小手先のスキルよりも、一生モノ。

絶対に価値があると私は感じます。
 
・・・・・

下手でもいいんです。
お母さんがやってること、ボク(ワタシ)もやってみたいなって、
ついつい同じことしてしまいたくなる、
そしてお母さんをじっと見つめる、
キラキラした瞳が宝物なのです。

・・・・・

タカマミー
 


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