2016年8月26日金曜日

子どもの指導をめぐって~指導者と親との間で~

人の親になるということは、子供に何かあれば、自ら責任をもって対処しなければならない立場になるということでもあります。

子供が幼稚園に通うようになったり小学校に通うようになったりすれば、担任の先生と、

習い事に行くようになったら、習い事の指導者と、

連絡や相談をすることがありますよね。

・・・・・

私のような障害児の親となると、

専門医にかかれば専門医と、

療育に行けば療育の指導者と、

福祉サービスを利用すれば福祉サービスの事業所やその担当者と、

さらに園や学校では、校長先生はじめ職員室の前方に座っている先生方であったり、

担任以外にも交流級の担任であったり、養護教諭の先生であったり、加配の先生であったり、

それはもう、かなりの量の指導者・担当者・責任者と連携を取る必要があります。

息子の場合、福祉サービスだけでもかなりの数の事業所と契約していますし、

一対一で外出支援をしていただく担当者だけでも現在4名ほどいてくださいます。

それぞれの場所の特徴や、その方のキャラクターによって、

お願いしたり相談したりする内容も変わってくるわけです。


スケジュール管理やそれぞれとの契約も割と時間を取られるのですが、

それよりも一番重視していかないといけないのは、

息子がその場所でうまくいっているのかを把握し、

軌道修正する必要があると判断した場合は、自ら行動し、修正していただけるように働きかける必要があるということです。

そのためには、様子を見て、話を聞いて、息子の様子を観察することがとても重要です。

(ただ付き添いと言っても、スマホを見てぼーっとしているわけにはいかないのです!)

もし、うまくいっていれば、相手をしっかり強化し、関係が良好であることを感謝して気持ちよく指導にあたっていただきたいですし、

うまくいっていなければ、伝えるべきことはしっかりと伝えねばなりません。

・・・・・

先日、ある習い事で、これはもう間に入らねばと思う出来事がありました。

実は、徐々に徐々に、指導者と息子との信頼関係が崩れていっているのは感じていました。

今までの指導者たちも、息子の理解力やメンタルの弱さ、気分のアップダウン、にはかなり苦労されていましたし、工夫していただいていました。

しかし、指導者たちが、なによりも母親との連携を大切にされ、うまくいかなかったことに対する母親の意見を聞いてくださり、それを活かそうと努力してくださっていました。

ここでは長年、知的障害児のクラスに所属しているので、障害児の受け入れには経験があります。

そして、指導者と親とで協力してやってきましょう、技術の習得だけを目的にするのではなく、コミュニケーションや社会性をはぐくんだり、ルールを理解したり、集団活動での学びも意識して、という理念のもとに指導していただいているクラスです。

だからこそ密にやっていけるのが、このクラスの魅力でもあります。

しかし、現指導者とはなかなかそのような密な関係にはなりづらく、

話をしても表面上だけであって、次のクラスには活かされていない、そんなことが続きました。

そして、息子は”どうして僕の気持ちをわかってくれないの!”と指導者のほっぺをつねってしまいます。

それに対し指導者は冷静になることができず、逆切れしてしまう始末。

それが毎週毎週続くわけです。

任せておくにも限界があるなと、とうとう異議を唱えました。

・・・・・

そのクラスの大御所責任者の方は、その実情を知らずにおられ、

話を真摯に聞いてくださり、状況を見て大変納得し、「お母さんと同感です、対処します」と言ってくださいました。

また、既に退職されているベテラン指導者と私との間には、お友達関係という接点があり、
たまたまその話を聞いて責任を感じ、間に入ってくださいました。

よくモンスターペアレントと言われたりする現在ですが、

指導者側からすると、私はおそらくそんな風にはうつらないようです(良かった!)

・・・・・

しかし、それから2週間経って、

この2週間はなんだったの、という惨憺たる結果でした。

真ん中の週に、私からの希望で入れ込んでもらった「嫌な気持ちを払拭するための楽しい活動」は予想通りうまくいったにも関わらず、それを次の回で指導者が全く活かすことができなかったのです。

指導者側としては、事前に今日の予定について話をしたいだろうと思い、親子で早めに到着したにも関わらず、
指導者は出てこない。

サブの指導者はいたので今日のメニューを聞くと、

「それ、うまくいってなかったときと全く同じやん」でした。

今まで何聞いてたん?
何見てたん?
先週何感じたん?
それをどうしたらいいかベテラン指導者からいただいたアドバイスは?
私が繰り返し話した、うまくいくセオリーは?
全部どこいったん???
何一つ活かすつもりないやん。

レッスンが始まる前だったので、急遽ここだけは守ってほしいとお願いしたことさえ、
やってもらえませんでした。

・・・・・

そんな状況をすぐ横で見ていた、
長い付き合いの友達がぽつっと言いました。

「あの時の、あの場面とよく似てるのに、結果が違うね。」

・・・・・

そうあの時の、あの場面とは。

遠方であったが、ある指導者が、目の前で息子とやりとりしながら遊ぶ姿を見ながら、
そのやり方を見て、その考え方をうかがって学びたい。

そう願ってそれが叶って行った先で、3か月後

「担当者が、新人のAに代わります。」と突然言われた時。

Aさんはとても熱心で明るい方でしたが、なんせ新人さん。

思うように息子とやりとりできず、

ただただ息子の後ろを追いかけているだけ。

担当者から考え方をうかがうどころか、「すみません、お母さん」と言われる始末。

しかも、担当者が突然代わるなんて説明を受けていなかったし、

全く納得できず、異議を唱えたことがあった。

新人のAさんの前で異議を唱えることは、とっても酷だと思ったけど、

「少しだけ長い目で見てください、お母さん」と言われたけれど、

私が欲しいのは、そんな生易しいものじゃないのに・・・

気持ちの折り合いがつかなかった。

・・・・・

異議を唱えた後、家に帰り、

私はAさんに長い長い手紙と、

息子が好みそうな活動を書き、

家で私と好んでやる活動のマニュアルをたくさん入れて、郵送した。

私は、ただ文句を言うだけの親ではないと思っているから。

少しばかり、新人さんには酷だったかなという思いがあったから。

そこに少しでも早く修正が入り、意義のある活動にしてほしかったから。

すぐに辞めるということは、私にとっても息子にとっても、逃げることだから。

・・・・・

その後、Aさんはその手紙を涙を流しながら何度も読まれ、

たくさん準備をされ、朝早くからシミュレーションを重ね、

次のレッスンを迎えました。

いきなり、指導が上手になっていたわけじゃないけど、

その素直さ、まじめさ、真剣に取り組もうとする気持ちが

ひしひしと感じられました。

「お母さん、資料をたくさん送っていただきありがとうございました。
お母さん直伝のメニューも組み込み、まずは彼の反応をよくし、
関係を作るところから頑張ってみますので、
もう少しお時間をください。」

・・・・・

いきなり指導が上手になられなくてもいい(というかそれは無理だから)。

失敗してもいい。

でも、真剣に向き合っていこうとされる姿勢や、
素直な姿は、
親から見たらすぐにわかります。

そんな方と、息子と関係を作っていってほしいのです。

貴重な学びの機会を、無駄にしたくないのです。

息子に対して、技術や勉強や運動がうまくなることを期待しているのではありません。

ただ、人と向き合い、モノと向き合い、行動やコミュニケーションを学ぶのに、

どんな考え方を持った指導者であるかということが、息子にとって非常に重要なのです。

それを、母親以外の誰かと成立させられる、という機会が重要なのです。

・・・・・

親の立場になったとき、

意義を唱えるのは難しいことでもあります。

すぐに「モンスターペアレントだ」と思われては、話も聞いてもらえません。

私はこれまで、以下のような方法をとってきたのかなと思っています。

1.怒るのではなく、冷静に状況を説明し、親としての考えをしっかりと伝える。

2.必ず具体的に改善・修復させる方法を提案する。

3.親ができることはどんなことかを伝える。

4.先にやっておくべきことがあれば親が引き受ける。

5.指導者の意見をきく。

6.指導者が納得してくれたら、事前にどんなメニューややり方をするつもりかをうかがっておく。


・・・・・

それでもうまくいく時もあれば、うまくいかない時もある。

それでも、少なくともこの6つのことについて考え、行動しておくことが必須条件だと私は考えています。

・・・・・

タカマミー






0 件のコメント: