2017年4月23日日曜日

急ぐってどういうこと?

発達障害があっても、
ある程度の社会性があれば、
競争心、
つまり、勝って嬉しい、負けて悔しい
ということはわかるようになります。

これがわかるようになると、
勝つことにこだわりだし、
勝たないとひどく癇癪を起したり
と問題行動化する子が多いので、
それはそれで周りは苦労してしまうのですが。


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さて、うちのSさんは、
社会性の障害が重いのと認知の問題とで、
勝つとか負けるとか、
そういうことに無頓着です。

おそらくここまできたら、
彼に勝負がわかるようになる日が来るのを待っても、
来ない可能性が大きいでしょう。

何とかして能力を伸ばしてやりたいと思っても、
元々備わった能力以上のことを期待するのは無謀なので、
「仕方ない」とすることも親として大切なスキルです。

※理想の現実とのハザマ、
ここが虐待につながるケースも多いのです。

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Sさんの状態を受け入れつつも、
それに類似した概念として今のSさんに必要なこと。
それは「急ぐ」ということだと考えていました。

時間に間に合わせるために「急がなくちゃ」という意識を育てること。
これは、彼にとって必要なスキルだと思うのです。
間に合ったら、いわゆる「勝ち」ということです。
間に合わなかったら「負け」ということですよね。

ある程度の時間が読めることと、タイマーが有効なSさん。

ここで設定を考えました。
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夜のルーティンです。

1.お風呂からパンツとシャツ姿で出てくる。(手にはパジャマ)

2.夜の薬を飲む。

3.パジャマを着る。

4.ソファで寝転んで、仕上げ磨きの準備完了。

たったこれだけのことなんですが、
放っておいたら、30分もかかったり、
途中でパソコンで遊び始めたり、
穏やかでいたい母も、イライラし始めます。

いろんな手を使いましたが、
そもそも手順へのこだわりや
やり方へのこだわりが随所に含まれるため、
休まず手順をこなしたとしても、
めちゃくちゃ遅いのです。

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そこで、この4つのルーティンが7分以内に完成したら、
仕上げ磨きの付属としてついてきた「耳掃除」がしてもらえることにしました。

7分のタイマーがなっても完成していなかったら、耳掃除はありません。

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この手のことを、口で説明しても、イマイチぴんとこない認知のSさん。

実際に、2回ほど失敗してもらいました。

そしてその後、ものすごく手助けして、成功してもらいました。

その後、1回も失敗すれば、このルールは理解しました。

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そして、未だにこだわりにひきずられて「あーあ」となる日もあるのですが、

なんとか間に合いそうなときは、

パジャマを着ている時間がなくて、
パジャマを抱えたまま、ソファにダイブ!したり
するようになったんです。

タイマーのカウントダウンを見ながら、
ものすごく素早い動作をしたり、
ちょっとズルをしてでも間に合わせようとしたり、
そんなことをするようになりました。

笑顔で
「耳こちょこちょ、やな♪」
と嬉しそうです。

これはすごいことなんです!

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自然にこのような概念がわかる子には、
わざわざ必要ない設定かと思いますが、

Sさんのように、工夫次第で体感し、理解する概念もあります。

私とSさんのこれまでの生活では、
幾度となくこんな設定が登場しました。

設定が上手でも、本人の認知のレベルと合わなかったりして、
2年後再チャレンジ、というようなこともありました。

参考になれば幸いです。

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タカマミー

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