2015年4月10日金曜日

叱らない子育て・人育て

最初にどんなことを書こうか、
今日一日悩んだのですが、
いきなり脈略もなく書きたい話を書くことにします。
 
・・・・・
 
人を育てる。
どんなことをイメージしますか?

大人なら、
多くは職場での後輩の育成
または部下の育成
そんな場合が多いでしょう。
 
家庭なら、
やっぱり子育て
それに尽きるでしょう。

いや、夫育て、妻育て、
というカテゴリーもあるかもしれません。
 
・・・・・
 
人を育てるとき、
どんな風にやってみたいですか?
 
見本を示してやり、
褒めて育てる。
そんなイメージでしょうか。
 
それとも、ガンガン指導し、とにかく付いてこい、
体育会系もありでしょう。

職人さんの世界のように、
ただただ師匠を見て盗め、
そんな世界もあるでしょう。
 
・・・・・
 
でも、実際には
駄目なことをしたときは、
叱っていますよね。

私も、叱っています。
注意しています。
時には叱りすぎて泣かせることもあります。
子供に対しても、
大人に対しても過去にあります。
誰とは言いませんが。
・・・・・
 
先日、私が経験した話を書きます。
 
息子と私。
我々の活動は、県外にまで及び、
週のうち何度かは、県をまたいで移動します。
当然、片道1~1.5時間ほどの車移動になります。
 
私が運転席、息子が助手席。
狭い愛車で2人ごちゃごちゃ言いながらの時あり、
音楽を聴いている時あり、
おにぎりやら飴やら、食べながらの時あり。
高速にものります。
 
そんな息子の最近のブームは
車の窓を全開にすること。
真冬に始まったこのブームは、
とどまることを知らず、未だに絶賛好評中です。
 
一番は風の刺激を感じたいこと。
二番目はいろんな音を聴きたいこと。
彼は結構激しい刺激が好みです。
・・・・・

そこでまず、
「窓開けていい?」
この言葉で私に許可を求めてから開ける、
その練習をしました。

所謂本人にマンド(要求)があったときに、
アイコンタクトとその言葉を言うことで練習する、
これは幼い頃からの我々母子の基本のやり方です。
そうやって、使える言葉を増やしてきました。
そして、数ヶ月で習得していきました。
 
・・・・・
 
すると次は、
その窓から顔を出したい要求が強まってきました。
もっともっと風を感じたくなったんでしょう。

決して、無茶苦茶な顔の出し方をするわけではないけれど、
放っておいたらエスカレートしていくだろうことも、
この要求は止めておくべきだということも、
すぐに判断できました。

彼には、
「ちょっとぐらいなら良い」という基準は、
非常に判りづらいからです。

止めさせるなら、すぐに判断して止めさせなければ、
止めることができなくなるからです。

誰だって、楽しいことは止めたくない。
最初は許してくれてたやん?ってイメージも
なかなか抜けませんから。

・・・・・
 
最初は顔を出す度に
肩を叩いて、「やめなさい」
と注意しました。
すると息子はすぐに止めました。

でもやっぱり楽しかった。
1分もしないうちに、
また顔を出します。
「やめなさい」
すると息子はすぐに座り直します。

でも、やっぱりやっぱり楽しかった。
「やめなさい、言うてるでしょ!」
「・・・ごめんなさい。」
「お母さん、何回も言うてるよ?」
「・・・顔出すの、バツ!」

息子だって一応わかってはいるんです。
だけど、自分の衝動をとめられるほど、
彼は精神的に成熟していません。

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一週間ほど経過しました。

状況は相変わらずです。

これは、駄目だな。

クセになる前に、作戦変更。

・・・・・

2人で車に乗っています。
「・・・窓、開けていい?」

「うん、いいよ。でも顔出したら、おしまい、にするからね。」

「・・・わかった。」

1分後、息子は顔を出します。
メチャクチャ嬉しそうな顔をして。

「はい、おしまい。顔出したからね。」
 
1分後、
「・・・窓、開けていい?」
「駄目、おしまいにするって言ったからね。」
さらに1分後、
「・・・窓、開けていい?」
「駄目、おしまいにするって言ったからね。」
延々と続くわけです。
だけど、1ドライブ1チャンスに決めたので、
母は譲りません。

・・・・・
 
用事が終わって帰り道、
「・・・窓、開けていい?」

「うん、いいよ。でも顔出したら、おしまい、にするからね。」

「・・・わかった。」

1分後、息子は顔を出します。
メチャクチャ嬉しそうな顔をして。

「はい、おしまい。顔出したからね。」
 
1分後、
「・・・窓、開けていい?」
「駄目、おしまいにするって言ったからね。」
さらに1分後、
「・・・窓、開けていい?」
「駄目、おしまいにするって言ったからね。」
延々と続きます。
 
・・・・・
 
1ドライブ1チャンス方式を始めて4回目くらいになると、
息子は因果関係を掴んできます。
パブロフの犬の逆バージョンみたいな感じですね。

それでも、やっぱり顔をだしてしまってアウト。
そんな簡単に、衝動は止められませんから。

・・・・・
ドライブ6回目くらいでしょうか。
 
「うん、いいよ。でも顔出したら、おしまい、にするからね。」
 
と言ったのに、また顔を出した直後、

”まずい、思わずやっちゃった”

という表情で、私を振り返りました。

「はい、おしまーい」
冷静に言いましたが、これはなかなか手応えあるぞ!?
と心の中でほくそ笑みました。

・・・・・

ドライブ7回目。
6回目が往き道で、7回目が帰り道という絶好のチャンス。

結果は、一度も顔を出しませんでした。
一時間、一度も。
 
ドライブ8回目も、9回目も、
風をビュービュー感じながら、
つつがなくドライブを終えました。

・・・・・

1ドライブ1チャンス方式は、
彼から快を取り去るという、一種の罰であったと思います。

彼には、これが効果的でした。

「ものすごーく風を感じることは楽しいけど、
それより、それなりの風をずっとずっと楽しめる方が、
おトク!」
 
・・・・・
 
結果的には、叱らなくても、
自分がどう行動したらいいのかを知り、
自制することを学んでくれました。

本当の意味を理解しているわけではありません。
「怪我するかもしれないから」
なんて仮定の話をしたって、
イメージできませんから。

でも、それでいいと私は思います。
数々の問題行動を起こしがちな彼は、
下手すると、一日中怒られている羽目になります。
 
別に人を困らせる気なんかないんだけど、
思いつくままに行動したら、
必ず叱られしまう。
そんな行動をしてしまう子です。
 
・・・・・
 
ちょっとした目先を変えることで、
行動が変わることがある。

いつもいつも成功するとも限らない。
失敗したり失敗したり失敗したり・・・
時々成功したり。

叱ることもあってもいいと思う。
だけど、叱ることで効果がなかったら、
その方法は止めた方がいいということではないだろうか。

いろんな方法を試してみたらいい。
思いつかなかったら、
口調を変えてみてもいい。
表情を変えるだけでもいい。

問題でないことをしていたときに、
十分強化(褒めて)あげたっていい。

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「何をしても変わらない」
「手の施しようがない」

相手が理解できないことがあったら、
自分の説明の仕方が悪かったんだと思ったらいい。

相手が問題行動を止めなかったら、
自分の行動を変えなかったからだと思ったらいい。

それでも無理だったら、
できるようになる時期を待ったらいい。
再チャレンジしたらいい。

・・・・・

人は変わる。

根本は変わらなくても、
ちょっとずつちょっとずつ鋭い角が
いびつな形が
丸みを帯びて
上を歩いたら、ちょっと痛いような、痛くないような
ころんとした海岸の石のように、
だんだんなっていってくれたらいいと思う。

急には変わらない。
でも、人は変わる
と私は思う。

・・・・・
書きたかったことが書けました。
ありがとうございました。

タカマミー

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